がんになって心配なことは転移や再発だけではありません。
入院、手術、30回に及ぶ放射線治療や年単位で続くホルモン療法、
抗がん剤を服用する化学療法、診断まで、あるいは術後の経過観察に伴う
各種の検査などにかかる医療費です。
一人でも家族がいても心配です。
一家の働き手ががんになり、住宅ローンや教育費を払いながら
がん治療を行っている話もよく聞きます。
こうした高額医療をサポートしてくれるのが高額医療費制度による限度額です。
年収によって月に支払う医療費の限度額が設定されており、
それ以上の医療費は保健組合が負担してくれます。
健康で保険料を支払うばかりで損をしていると感じていた私ですが、
この時ばかりは保険の有難みをひしひしと感じました。
病院によっては患者の保険情報を把握していて、
何も手続きをしなくても限度額内の支払いになるようになっています。
システム化されていない病院の場合は、
個人で健康保険組合に高額医療申請書を依頼し、
必要事項を記載して提出すると限度額申請書が送られてきます。
その申請書を通院している病院に提出すれば
月の限度額が設定され、限度額に達した時点で支払いがストップします。
高額医療費制度を4回(4カ月)利用すると、
5回目(5カ月目)からは限度額がさらに下がります。
長期間治療が必要な疾病にはありがたい制度です。
この制度以外には無料・低額医療制度があります。
社会保険加入者が対象ですが、限度額までも支払う余裕が
ない場合、いくつかの調査を経て医療費が無料になる制度です。
支払いが溜まっているなど、事情がある場合に利用できます。
いずれにせよ、社会保険に加入しているメリットを実感できる制度です。
がんの治療費用は100万単位の高額医療。
保険なくして一般庶民には受けられない医療なのです。
アメリカで治療費がなくて治療を受けられない人がたくさんいる現実は、
こうした日本の制度との違いを如実に表していますね。
