女性が抱える恐怖と悲劇。

ペルーの映画を見た。
「少女はアンデスの星を見た」。

荒涼とした風景が広がるペルーアンデス。
カラフルな民族衣装に身を包んだ少数民族の女性たち。

人気の旅先に上がる歴史と自然が美しい民族の暮らしを育む国ペルー。
マチュピチュ、ナスカの地上絵など、旅人の心をつかんで離さない。

映画はモノクロで描かれ、
カラフルな民族衣装に色はなかった。
カラフルなままでは映画が伝えたいことが
強いインパクトを持たない。
そう思った。

生まれて間もなく両親を失った少女ヤナワラ。
祖父が愛情込めて育てる。
年齢より遅れてやっと入学した村の簡素な小学校で悲劇が起こった。
男性教師がヤナワラをレイプしたのだ。
わけがわからず逃げ、泣き叫ぶヤナワラ。
そこから彼女の精神は壊れはじめ、
古い因習と共同体意識、自然信仰に暮らす人々によって
さらに追い詰められていく。

逃げ場を失ったヤナワラと祖父。
祖父は彼女を苦しみから救うために殺すことを決意し、実行する。
そして、共同体から責められ、財産すべてを没収され、
共同体を追い出されてしまう。限りなく続く大自然の中へ。

物語は彼女が性的暴力を受けたことによって
アンデスの地に住む悪しき精霊に魂を奪われ穢れたものになった
こう描かれる。

現代、文明の進んだ地に暮らす者から見ると
「信じられない」という気持ちになる。

でも、おそらく女性の身に起きる
性的暴力は世界中に転がっている。

そして、精霊のみならず
女性の手の届かないところで勝手な判断をされ
女性たちを翻弄し続けている。

今アメリカで多くの文書が公開され始めているエプスタイン事件。
大富豪の男性が権力と財力で多くの少女たちを性的虐待し
世に名が知れた著名人をも巻き込んで恐ろしい
人身売買のシステムを作った事件が
それを物語っている。

昔も今も、ペルーもアメリカも。

映画を見終わって後味の悪い思いが残った。
こんな感覚は久しぶりだ。

それでも、知らないことを知るために
映画を見続けよう。

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