個人の人権、価値観が
尊重される社会になってきているはずだが、
犯罪など社会的悪においては、
個人が所属する家族、集団単位で、
その罪を追求されていく。
家族が罪を犯したら・・・
家族が崩壊し、バラバラになっても
さらに重い試練が追いかけてきて
追い詰められ、何も持つことを許されず
どこまでも社会からはずされていく。
「それでも私は」とオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫の娘、
松本麗華の人生を描いたドキュメンタリー。
大学からも拒否され、
就職先からも解雇され、
銀行口座を持つことも拒否され、
社会全体から松本智津夫の娘ということで拒絶され続ける彼女。
苦しみながら成長していく彼女の姿に心打たれた。
途中死にたい気持ちも抱き、寝込む姿もあった。
それでも立ち上がり、筋トレをして、心まで鍛えてていく。
自分の生き方を探す中で、支援者側に立つようになる。
人はこうして支援される側からする側に移行する。
移行せざるを得ないのだと思った。
彼女を支え続けた映画監督。
その他の人々から、支える姿も学べた。
映画館では最後にトークが行われ、
オンラインで客席がつながった。
一人の男性が立ち、
「自分は松本智津夫と似ていることでいじめられ続けてきた」と話された。
彼が上映中泣いている姿を後ろから見ていた私ははっとした。
社会とは・・なんて恐ろしい所なんだろう。
そのことを知るのは社会で地獄を見た者だけ。
世界中にある人間の地獄・・・
そして、彼女の心には教祖以外の
優しい父親が住んでいて、そのことは忘れることのできない事実ということ。
人生ってたいへんだ。
でも、それでもみんな、私を生きていくしかない。
自分の人生を引き受けるとは、こういうことなんだ。
彼女の幸せを願う。心から。
