抗がん剤終了。叩き切ったと信じる!

2024年5時3日から飲み始めた抗がん剤「エスワンタイホウ」。

今晩最後の錠を飲んで終了となる。
手術で切除はしたけれど、
目に見えない潜在的ながん細胞を叩き切るための抗がん剤。
主治医の勧めで飲むことに決めたものだ。

長い一年だった。いや今振り返れば早かったのかも。

3週間に一度必死で通院し、採決をし、数値に課題がないか調べ
次の2週間分を処方してもらう。

少し吐き気がし・・・吐き気止めをもらうも飲まず。
口内炎のような違和感を覚えるも数週間で治まった。
肝臓の数値が乱れ1ヵ月ほど服薬すると数値は安定していった。

なにより困ったのは味覚障害。
味がしない。
甘味を感じない。
味がぶれる。
小さな吐き気が起こる。

おかげで体重が減り、
お腹の浮き輪が消えた・・
でも、おいしく食べられない苦しさを知った。

食べるのも、作るのも好きなので
食材を通じて季節感を楽しんでいた私にはつらかった。
1月頃に1錠25mgを20mgに変えてもらい
そこから身体の負担もなくなり
味覚が戻り始めた。

私の体重では1錠25mgは少し多かったのかもしれない。
開始時に薬剤師さんも迷っていた。

一年経ったお祝いに
カクテルとアミューズのペアリンクを楽しむ
ディナーを味わった。

ハーフやスパイスの香り
お皿の上のアートを愛で、味わえた。

おいしく食べられるだけで
十分だと感じる。

日々の当たり前の営みの中に小さな喜びを見つけて
できるだけ生きて、見たいものを見て
行きたい所に行って、人生を生き切ろうと思う。

途中でストップがかかっても悔いのないように!

さて、大阪万博に行くぞ。

2025/5/6 GW最終日

乳がんの宣告から一年経って。

自宅の最寄の駅を下りて帰る時、
手術を受けた病院の横を通る。
病室のやわらかくて温かい灯りを見ると
去年の自分を思い出し
胸が熱くなる・・・

去年10月末の市の検診でしこりが見つかり
この病院を11月23日に初めて受診した。
どんな結果が出るんだろう、不安を抱えながら
救急対応もある総合病院だけれど
こじんまりしていて対応もやさしく、
不安な気持ちがやわらいだ。
ここで診てもらおう・・そんな気持ちになった。

初診日にエコーを受け、即針検診となり
乳がんの可能性が高まった。
そこでほぼ乳がんと宣告された。

もう少し詳しく調べることになり
しこり部分を小さなSIMカードのように切り取る検査をし
精検に出して乳がん確定。ステージⅡaだった。

そこからはすでにブログに綴っている
流れを経ていくのだけれど・・

この一年の早かったこと。
宣告を受けて手術までの日々を
今あらためて思い出している。

手術で広がりが見つかったら・・
転移していたら・・・
いろんな不安が押し寄せたけれど
以外にも、私はよく眠り、よく働き、よく食べていた。

腹をくくったのか
私は大丈夫と思ったのか
再発しても手術できる段階で見つけようと思ったのか
あと10年弱生きられれば満足と思ったのか

宣告を受けてからの私は
気持ちを切り替え、前向きに手術、治療に
向かっていくことができた。

1年間抗がん剤を服用することを勧められ
考えた末飲むことにして7カ月。
いくつかの副作用を越え、今は味覚異常の副作用が
私の健全な食欲を妨げている。

それでも生きていられることに
時々感動する。
夜眠る瞬間の幸せなこと・・・
温かい湯船に身体を浸した時の感動!

愛犬が愛おしく
部屋に差し込む日差しの揺れる影に心ときめき
日々歩く道で見かける季節の彩りにときめく。

あぁ、生きているだけでありがとうって感じ。
診断から一年、がんばった私を褒めてあげたい。

#8 仕事と治療の両立                           ~辞める選択を急がないで。即復帰した私の場合~

私の場合、乳がんになった時に一番最初に心配したのは仕事のことでした。
仕事は私のアイデンティティの核になるものです。
なので、今の仕事、キャリアを奪われたくなかったのです。

幸いにもステージⅡのリンパへの転移なし。
術後は、点滴型の抗がん剤でなく服用タイプの薬物療法で
治療していけることがわかりほっとしました。

唯一、術後の数十回に及ぶ放射線治療を
働きながら続けていけるかが課題になりました。
術前には平日毎日、計30回の放射線照射が必要になると説明されたのです。

メインホスピタルには放射線治療科がありませんでしたので
他院に紹介状を書いてもらい、そこで受けることになります。
メインホスピタルの関連病院は、自宅・職場ともにアクセスがよくなく
なんとか通いやすい場所にある病院を見つけなければ・・焦りました。

ネットで職場から一番アクセスのいい総合病院を探し
放射線治療科のページを確認すると・・・
なんと診療時間外の照射にも対応できる。
仕事との両立を応援します・・・と書かれてありました。
神の助け! そう思いました。
退社後、職場の前からタクシーに乗ると
10分足らずで病院に着きます。

この情報を得た私は安心して手術に向かうことができました。
術後主治医は紹介状を書いてくれ、
その病院で初診を受けると「17:30からの枠が一週間後に空く」と言われ
すべてが予定通りに進んでいきました。

術後右胸がチクチクしたり、小走りすると胸が痛いなど
違和感が残りましたが、面談、パソコンでの報告書の作成をメインとする
私の仕事には差しさわりがなく、金曜日まで働いて翌月曜日に手術入院。
土曜日に退院して翌月曜日に出勤。
仕事はインフルエンザで休み、職場には病気のことを話さずに過ごせました。

「仕事と療養を両立させる」。
キャリアの世界では、これが主流のように言われますが
実際はいろいろな問題があり、退職に追い込まれることも多いと思います。
周囲の理解を得て・・というのは余程余裕があり、知的水準が高い企業で
何年かのキャリアを積んだ人に限ると思うのです。
派遣など有期雇用ではかなり難しい。

だから、可能であれば仕事に差しさわりがないように
乗り切ることがいいと考えています。

もちろん、術後に課題を抱え、身体が思うようにならない場合もあります。
でも、辞める選択を急がず、なんとか続けていく道を探した方がいいと思います。

がんは再発の可能性を抱えています。
でも、仕事を持ち、自分の役割や社会とつながっていることで
自分を支えていくことができます。
なにもしていないと、かえって不安が募ります。

40年前専業主婦だった母が術後再発の不安を抱えながら
パートをしたり、習い事をして気持ちを紛らわせていた姿を今も覚えています。
ちょうど子育ての手が離れ、空の巣症候群のような状態の時に
乳がんになり、どんなに不安を抱えたかと、今になって気づきました。

その母の姿が、今の自分の生き方につながっていてます。

メインホスピタル選び ~アクセス、対応力、症例数、雰囲気~

メインホスピタル選びはとても重要です。
私は検診で乳がんの可能性を直接伝えてくれた女医さんに
お勧めの病院を聞いて、迷わずその病院に電話をし、初診の予約を入れました。
その時の電話の対応もよく、祝日に診察できる点で、
仕事をしながら検査や治療を進めていく身としてはありがたく
その時点での迷いはありませんでした。

選んでいる余裕もなかったように思います。
早く診察を受けて、早く手術をしなければ・・広がる前に。
そんな思いが強かったと思います。

それ以外に優先したのは通院のしやすさです。
自分が毎日利用する最寄り駅の前にある総合病院で
自宅との距離が近く、もしも抗がん剤治療になったら
投与後自宅に帰ってすぐに休める環境が望ましいと思ったのです。

今も選んだ病院を信頼して治療を続けていますが
少しだけ、判断が甘かったかな・・と思うことがあります。

それは術後に放射線治療が必要であることを
いくつかの検査が終わり、手術日が決定した時点で
放射線治療科がなく、他院を探す必要があると聞かされた時点です。
「えっ」という感じでした。なぜもっと前に、この病院でできること、
できないことをしっかり説明してくれなかったのだろう?
自分で標準治療について、もっとしっかり調べておけばよかった。
そんな後悔が生じました。

手術日が決まった時点で放射線科もある病院を選び直す気力もなく
「放射線治療ができる病院を探そう」。そう思い直し、自分を励ましました。

加えて、メインホスピタルでは脳のMRIを撮る設備はないみたいで
今後の経過観察、治療上にある転移を
未然に防ぐための検査機能が万全ではありません。
すべてが揃っている病院であれば各科が連携して
総合的に診てもらえるのではないか?
そんな思いを持ちました。

幸いにも部分切除でリンパへの転移もなく、
放射線治療、ホルモン剤と抗がん剤の服用という治療の流れが決まり
比較的軽い状態であったことで、選んだメインホスピタルで
継続して治療を受けられると判断しました。

ただ、もしも転移があったりと複雑な様相を呈していけば
トータルにすべてを診てもらえる病院がいいように感じます。

アドバイスとしては、乳がんの可能性が出た場合
まず標準治療の流れを把握して
自分が受ける可能性のある治療がすべてできる病院を選ぶことをお勧めします。

私自身は他院で放射線治療を受け
骨粗鬆症の手当は他のクリニックを紹介されて通っていますが
メインホスピタルのこじんまりした感じ、病院の雰囲気は気に入っています。
いつも仕事の帰り、病院のやわらかな灯りを見ると
手術入院した日々を思い出します。
清潔なベッド、病室で丁寧に対応してもらえました。
主治医を信じて、ここで治療と経過観察を続けていこう。
そう決心しています。

乳がんの標準治療

科学的根拠(エビデンス:あるテーマに関する試験や調査などの
研究結果から導かれた、科学的な裏付け)に基づいた観点で、
現在利用できる「最良の治療」であることが示され、
多くの患者に行われることが推奨される治療が標準治療です。

乳がんの診断を受けた時、私は標準治療を知らず、
医師からも伝えられず体験談ばかり読んでいました。
自分と同じステージの人がどんな治療を経て
どんな経過をたどっていったのか?

そうした事例が一番心の励みになっていました。
事例を読みながら一喜一憂していました。

でも、診断が下りた段階で一番知る必要があるのは
自分の乳がんに適した治療方法です。

メディアでは最新の治療、自由診療で受けられる治療法が
著名人の事例に基づいて紹介される記事を多くみかけます。

でも、一番重要なのは多くの事例をもとに確立された信頼できる治療法。
そして、そうした治療法は保険適応の範囲ですので
誰もが受けられる治療になっています。

乳がんは特に、この標準治療がしっかり確立されています。
40年前、私の母がステージⅢないしⅣの乳がんになり
全摘をして放射線治療をした頃は標準治療は
立していませんでした。
長い年月を経て、今はステージごとに治療が確立されています。

国立がんセンターのHPには乳がんの標準治療の流れが
フローチャートでわかりやすく表現されています。
必ずこれを確認し、自身の状態がどこにあるのか、今後手術をするのか
どのタイミングで服薬治療が始まるのかなど、そこで調べておいて
わからないことは主治医にしっかり確認していく必要があります。

私の場合初診時に、今後の検査によって術前に抗がん剤を処方し
その後の手術になる場合もある。あるいは手術後にホルモン剤などの
服薬をしていくかもしれないと言われました。
この時に標準治療を知っていたら・・と後で思いました。

その後患部に針を刺して細胞を吸い取る穿刺せんし吸引細胞診検査(細胞診)、 
穿刺せんし吸引細胞診検査検査より太い針を使って病変を切り取る針検査(組織診)を行い、結果を確認したうえで、その後の治療が決まると言われました。

実はこの時点で術後の放射線治療については言及されませんでした。
放射線治療の必要性を説明されたのは手術が迫ってから。
全摘でなく部分切除を選択した場合、
標準治療では放射線の照射は必須だと言われたのです。
さらに私がかかった病院には射線線治療科がなく
別の病院にかからなければならないことも、この時点で知りました。

実は、この時医師の説明不足ではないかと思いました。
初回時にきちんと説明されていれば・・と思いましたが
手術を前に気持ちに余裕がなく、ただ唖然とするばかりでした。

もしも、知っていれば、病院の選択にも影響したかもしれません。

まずは標準治療の流れを知る。
自分の位置を確認する。
そのために必要なことは何か、疑問はあるか?
すべてを解決し、納得して進んで欲しいと思います。

ちなみに若くして命を落とした小林麻央さんは
この標準治療から離れてしまったと聞きます。
乳房を切除しない方法を探し、他の治療に頼っていく間に
転移が広がってしまったと・・・。
今は乳房再建も乳がんの手術と同時にできるなど
治療は進んでいます。

まずは、基本を大切にする。
考えてみてください。

性別違和 男性になりたいのではなく、女性でいたくない気持ち。

思春期に女性であることを意識し、
そんな自分の性に違和感を感じる女性は少なくないと思います。
私自身もそうでした。そして、かなり長い間、
その気持ちを引きずって生きていたと思います。

今やLGBT礼賛の時代。「生まれてきた子どもの性別は、その子が選んでいい」
トランスジェンダーの両親の思いをある記事で読み違和感を覚えました。
アンチを唱えればヘイトとみなされてしまう時代。
声高に意見を言えませんが、「違うのではない?」と思っています。

生物として性別を持って生まれ、その性を自然に受け入れて育つことは
生物界の自然の摂理です。その根底からひっくり返してしまうことは
生物界への冒涜だと思うのです。

大人に成長していく段階で性別違和を感じたなら・・・そこからが
自身の性別を見つめていくスタートだと思うのです。

思春期に性別違和を感じ、自身を男性と性自認した女性への
「ジェンダー肯定医療」がアメリカには存在するそうです。

思春期ブロッカー(第二次性徴を抑制する薬剤)
  ↓
異性ホルモン(テストステロン)
  ↓
胸の除去手術
  ↓
場合によっては男性器の形成

こうして性別適合手術へと進んでいくシステム。

トランスジェンダーを支援する団体がこのシステムを
押し進めていったとのことです。

日本でも生理に違和感を感じた女性に、学校側が
「あなたはトランスジェンダーかもしれない」と支援団体につなぎ
思春期ブロッカーを投与した事例があるそうです。

こうして性別違和からシランスジェンダーへと
性自認を進化させていった後で「やっぱり違う」と
あらためて自分の女性性を肯定していく人もいます。

思春期は性の揺れが激しく、女性であることを嫌悪するところまで
思い詰めてしまうことは多々あります。もちろん男性も同様です。
こうした心の成長の変遷こそが、その人のオリジナリティ、個性を
豊かにしていくのだと私は思います。

そんなトランスジェンダー推進の社会的現象、心理を分析した書籍
『トランスジェンダーになりたい少女たち』がアマゾンで1位になっています。

女性でいたくないとと考える。
精神的に不安定な思春期の少女たちに過ぎないと
分析する書籍の主旨に私も共感します。

男性の方が何かとラクだと思った私は、女性である自分を生き続け、
そこに性別違和はありませんでした。あったのジェンダーギャップであり、
社会における女性への役割の押しつけこそが、
女性でいたくない原因だったと思います。

性別違和はキャリアの中で時々生じます。
その流れに乗る前に自分の心をしっかり見つめることが大切です。

悩める女性、男性も、行動する前に相談してください。

不安症

不安はどこから来るのでしょうか?

症状あるいは障害まで進んでいる場合は不安がどこから来るのかわからず、
漠然とした不安を抱え、外出できない、人と接するのが怖いなど、
日常生活に支障が出ている状態です。

米国精神医学会の精神疾患診断基準DSM-5-TRによれば、次の5つの疾患を
不安症としています。

パニック症
広場恐怖症
限局性恐怖症
社交不安症
全般性不安症 など

医学的に、不安の原因ははっきりわかっておらず、
身体的要因と心理的要因の両方が関連していると考えられています。
最近は脳内の神経伝達物質が関連しているという説も出ています。

こうした不安の治療法として「薬物療法」と「精神療法」があります。
薬物療法では抗不安薬が処方されますが、車の運転不可など規制もあり
また副作用にも十分な注意していく必要があります。

精神療法は、カウンセラーとの対話を通じて行います。
物事に対する考え方、受け止め方(認知)や行動に働きかけて、不安に
導かれる「考え方のくせ」を修正する「認知行動療法」、
あえて不安の中に身を置いて不安が起こらないことを確認して
自信をつける「暴露療法」などの手法があり、
症状を緩和することを目指します。

ライフステージにおいて、親から自立する分離不安、
思春期に自我を確立していく過程で生じるアイデンティティクライシス、
社会に出て環境が変化し、人生を考えた時に起こるキャリアの不安など、
さまざまな不安に襲われます。
一定期間の不安で終わればよいのですが、不安が高まり
日常生活に支障が出そうになった段階までに
手当てをしていくことをお勧めします。
まずはカウンセラーを通じて自分が抱える不安の元を手繰り寄せ、
どうすればその不安から解放されるのか、
カウンセラーにお話しされてみてはいかがでしょうか?

カウンセラーは、あなたの不安を一緒に抱え、
そこから抜け出す方法を考えていきます。

入院 乳がんの手術入院は部分切除6日・全摘10日が基本。

乳がんの手術入院は大きくわけて6日と10日の2パターン。
部分切除は6日で、私はこのパターンでした。
手術でリンパ節への転移が判明すればプラス2~3日になるようですが、
私はこれを免れ、ラッキーでした。
全摘の場合は5日で、同時に乳房再建手術をする場合は入院期間が延びます。

生まれて初めての入院だったので、
手術のことを考えると逃げたい気持ちになりました。
10時に病院に入る予定でしたが、なんだか気が進まず、
12時に伸ばしてもらい昼食はキャンセルしてしまいました。
食欲がありませんでした。

入院に向けて気持ちを持ち上げようと
新しいパジャマと下着を買い、アロマや本も揃えました。
乾燥予防と癒しを兼ねてスチームの美顔器も持ち込みました。
もちろんパソコンも。病院食の物足りなさを補うために
スープ数種類とフルーツも必要でした。
なので結構な荷物に・・・。
自宅から10分足らずの病院を選んだのは正解だったなぁと思いました。
精神的にも自宅が近いことが安心につながりました

職場には病気になったことを内緒にして
入院当日にインフルエンザになったことにしてお休みをもらいました。
インフルエンザで認められているのは5日の休暇。
月曜日に入院し、土曜日に退院予定の私の入院にぴったりで、
神様のお助けと思ったほどです。

入院に関して必要なものに親族・近親者の同意書があります。
主に医療費が払えなかった場合の費用に対する
連帯責任を負うことを証明するものです。
かつ手術中などに何か危機的な事態が生じ、
患者本人が判断能力を失っている場合に
代わりに判断する人の連絡先も必要でした。
家族関係を卒業している私は長年の友人に頼み、気安く受けてくれました。
緊急連絡先は2人必要でしたが、
これも同意してくれた友人一人で押し通しました。

こうした事務手続きをしながら、
日本の医療システムは家族主体なんだと強く感じました。
診断を聞いたり、手術の説明を受けるのも「家族も一緒に」
というパターンが一般的。
病院側も患者一人で負えないことを支えてくれる
親族がいることで責任が軽くなるのだと思います。

#9 お金の心配 ~高額医療費制度と限度額申請~

がんになって心配なことは転移や再発だけではありません。
入院、手術、30回に及ぶ放射線治療や年単位で続くホルモン療法、
抗がん剤を服用する化学療法、診断まで、あるいは術後の経過観察に伴う
各種の検査などにかかる医療費です。
一人でも家族がいても心配です。
一家の働き手ががんになり、住宅ローンや教育費を払いながら
がん治療を行っている話もよく聞きます。

こうした高額医療をサポートしてくれるのが高額医療費制度による限度額です。
年収によって月に支払う医療費の限度額が設定されており、
それ以上の医療費は保健組合が負担してくれます。

健康で保険料を支払うばかりで損をしていると感じていた私ですが、
この時ばかりは保険の有難みをひしひしと感じました。

病院によっては患者の保険情報を把握していて、
何も手続きをしなくても限度額内の支払いになるようになっています。
システム化されていない病院の場合は、
個人で健康保険組合に高額医療申請書を依頼し、
必要事項を記載して提出すると限度額申請書が送られてきます。
その申請書を通院している病院に提出すれば
月の限度額が設定され、限度額に達した時点で支払いがストップします。

高額医療費制度を4回(4カ月)利用すると、
5回目(5カ月目)からは限度額がさらに下がります。
長期間治療が必要な疾病にはありがたい制度です。

この制度以外には無料・低額医療制度があります。
社会保険加入者が対象ですが、限度額までも支払う余裕が
ない場合、いくつかの調査を経て医療費が無料になる制度です。
支払いが溜まっているなど、事情がある場合に利用できます。

いずれにせよ、社会保険に加入しているメリットを実感できる制度です。
がんの治療費用は100万単位の高額医療。
保険なくして一般庶民には受けられない医療なのです。
アメリカで治療費がなくて治療を受けられない人がたくさんいる現実は、
こうした日本の制度との違いを如実に表していますね。

検診2 乳がん検診はマンモグラフィ+超音波診断(エコー)がお勧め~

2年連続してマンモグラフィを受け、2.2cmになっていたのに
なぜ前年にもっと小さな腫瘍が画像に写らなかったのだろう。
この疑問は診断が確定するまで引きずりました。

しこりが1cmになるのに10年くらいの月日が必要と言われています。
私のしこりは発見された時点で2.2cm。
ということは、一年前の検診時には明らかに
1cm程度の大きさで胸の中に存在していたはず。
それを見逃された・・・検診って何なんだろう?
そんな疑問が生まれました。
検診時に判定をした医師に尋ねると、医師も疑問に思い、
1年前の画像を取り出して再度チェックしてみたとのこと。
「これかな・・」と思った黒い点のようなものがかすかに見えたけれど、
その時は要検査に至らなかったのだと言われました。
この時に気づいてくれる医師だったら・・そう思います。
気になると言ってもらえれば、自分で精密検査に進んだのに・・・。
その時の検査を責めるつもりはないけれど、
検査も完璧ではないことがここで明らかになったわけです。

それでも、もしも2023年に連続して
2度目の検査を受けていなかったら・・と考えると恐ろしいです。
乳がんは自覚症状がないので、かなり進んでしまわない限り
症状として自覚できないのです。検診を100%当てにはできないけれど、
検診の内容を吟味して、自分で注意していく必要があります。

私の場合、要検査になって受診し、
その日に受けたエコーでしこりがはっきり写り、
その場で針検査がなされ、確認に回されることになりました。
その結果乳がんの診断が下りたのですが、
エコーにはっきり移ったしこりを見て、
あらためてエコーの必要性を感じました。

調べていくと、マンモグラフィはもともと
アメリカ人の女性向きの検査機器とのこと。
乳房には高密度、脂肪性、高密度、不均一高密度のうタイプがあり、
高密度と不均一高密度の2種は要注意なのです。
日本人の女性に多い乳腺が複雑に胸の中に張り巡らされた
高密度タイプの乳房の中のしこりは
乳腺と同化して見えにくいそうです。

でも、エコーでなぞるとはっきり見えます。
それなら最初から乳がん検診はエコーにすべきでは?
そんな疑問が浮かびます。

その疑問を主治医にぶつけてみると・・・
確かに実体のあるしこりを鮮明に映し出すのはエコーだけれど
ガンに発展する可能性のある石灰化の状態は
マンモグラフィの方が映りやすいとのことだった。
私の場合は高密度タイプではないのでマンモグラフィで石灰化の状態を見つけ
再検査としてマンモグラフィで縦横両方で撮影し、
その後エコーに進むのがいいと言われた。

自分の乳房が何タイプなのか知っておくといいですね。

そして、日本人には日本人にあった検査システムを選んでいく必要があります。

いずれにせよ、情報を集めて疑問が出たら医師に確認する。
自分の検査、治療に積極的に関わっていくことが重要だと思います。